俳句の作り方 啄木忌たくぼくき の俳句
啄木忌いくたび職を替へてもや 安住敦あずみあつし
たくぼくき いくたびしょくを かえてもや
啄木忌が春の季語。
「4月13日。歌人石川啄木(1886年生1912年没)の忌日。
岩手県生まれ。
本名一。
『明星』の新進歌人として注目を浴びたが生活は困窮した。
詩集【あこがれ】歌集【一握の砂】などがある。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
句意を申し上げます。
啄木のように転々と職業をかえたけれども
生活が苦しい。
啄木忌いくたび職を替へてもや
まず、啄木鳥というのはキツツキのことです。
きつつきと読みます。
鑑賞してみましょう。
石川啄木は26歳という若さで結核のため死去しました。
その短い後半生は創作と金策のために費やしたと言っても過言ではありません。
代用教員や新聞記者、新聞の校正係りなど職業を転々としました。
しかし生活は苦しいものでした。
啄木はあくまでも文芸で食べていくのが夢でした。
しかしながら生活は困窮するばかり。
1910年、死去する2年前【一握の砂】を刊行します。
はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る
はたらけどはたらけど なおわがくらし楽にならざり じっとてをみる
妻の2度めの妊娠で入院した節子の出産費用を得る目的でした。
まもなく結核にかかり生涯をとじます。
啄木忌いくたび職を替へてもや 安住敦